2010年11月19日金曜日

ATRによるトレーリングを検証

私はトレーリングの考え方が性にあっているようで以前から興味がありました。

「トレーリングエグジットの考え方に優位性はあるのだろうか?」
というのが今回の検証目的です。

エントリーはランダムでエグジットをトレーリングストップで行うという事をやってみました。

以前にランダムエントリー&ランダムエグジットを試しに行ってみた時に確率はちょうど50/50でトレードあたりの平均利益も(スプリットを除いて)0になることを確認してありますので、今回はエントリーを同条件にしてエグジットをトレーリングで行い、以前のそれよりも少し良くなるだろうかという考えで検証を行います。エントリーは以前と同条件ということでBUYで入るかSELLで入るかもランダムで決定します。つまりランダムに決定されるある時点でSELLもしくはBUYでエントリーしてとにかくその方向にトレーリングをするといったやり方で検証を行いました。

トレーリングはATRをベースにした方法で検証しました。ここで言うATRトレーリングとは例えばロングをトレーリングする場合には:
現在の安値 - ATR(14)×Factor
をストップに設定するというものです。Factorはパラメータで例えば1とか2.5とか設定したい幅によって決定します。Factorを小さくすればするほどよりきつい(実値に近い)トレーリングとなります。例えばFactor=3.0で現在の安値が80.00でATR(14)が0.25の場合にはトレーリングストップを79.25に設定するといった具合です。

実は以前にATRトレーリングをいろいろなFactorでやってみたことがあり、その時の印象として今一つ実際の値動きをとらえていないという悪いイメージがあります。今後これよりも良いトレーリングを研究したいので今回はこのATRトレーリングを一番ダメなパターンとしてデータを取りたいと考えました。

今回も以前からと同様に2001年から2010年の途中までのデータ(1時間足16通貨ペア)を用いてスプリットを0.025%として行いました。その結果が以下の通りです。上が以前行ったランダムエントリ&ランダムエグジットの結果で下が今回行ったランダムエントリ&ATRトレーリングの結果です。ここで平均利益は1トレードあたりのパーセンテージベースの利益を示しています。(パーセンテージベースの価格についてはこちらの記事に少し書きました)ランダムエントリーランダムエグジットの平均利益が-0.025なのはスプリット分を除けばトントンであるということが表れているからと思われます。 エントリー条件を変えずにATRトレーリングを採用したことで平均利益が少しだけ良く(-0.025%から-0.009%へ、つまりスプリットを除いてトントンだったのが少しプラスに)なりました。それから標準偏差も小さくなってよりリスクが小さくなったとも言えます。平均利益がたったこれだけ良くなったことに何か意味があるのか?と思ってしまいますが以前にもまして現在ではこの小さい違いでも実は思ったよりも意味があるかもしれないと考えるようになりました。


今回のATRトレーリングではFactorを1.0から4.0までの範囲で0.2きざみ毎に変化させながら検証を行いました。上記数値はFactor1~4までの範囲の平均です。またランダムエントリーのタイミングも何種類かの異なる確率で行いました。なのでトータルで10万回以上のトレード数での結果なので小さな違いでも有意となりました。(U検定にて

今後はトレーリングでもっと良いものを目指したいと思っています。良いトレーリングというのは「こういう形になったらトレーリング幅を狭めて良い、こういう形の時は狭めずに待たなければいけない」という状況判断が的確にできるトレーリングということになると考えています。 ATRトレーリングはあくまでここ最近の値幅をベースに幅を決定し特に状況判断をせずに一定の距離を保つといった感じのトレーリングですが、良いトレーリングはおそらく何か別の状況判断でもってトレーリング幅を狭めて良い時とそうでない時を区別できるのだと思っています。今後研究していきます。




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